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明日、荼毘に付します

 

 なにしろ寂しくてやり切れない…。

 タオは明日の昼に荼毘に付すことになりました。
 冷たく固くなってしまったけど、それでも抱いたり、撫でたり、匂いを嗅ぐことができる。しかし焼いてしまったらそれもできない。いまでも寂しくてやり切れないのにもっと寂しくなるのはつらい。

 タオはいつもぼくの部屋で寝ていたので、そこにベッドを置いてタオを寝かし、遺体が痛まない様にクーラーかけまくっているんですが、ここリビングから見ても、近くに行って見ても、寝ている様にしか見えないです。

「タオ! ご飯だよ」
 とか
「散歩行くぞ!」
 とか声をかければ起き上がりそう。もっとも最近では歳のせいでずいぶん耳が遠くなっていたから、声をかけても起き上がらないことも多かった。なので尚更にそう思う。

 共有玄関でタオがオシッコ漏らす度にちゃんと拭いていたのでそれほど迷惑はかけてないし、元来がペット可の物件なので大丈夫なんですが、それでもタオに対して大家さんの理解があったのは助かりました。人見知りのタオは懐かなかったけれど、大家さんの子供はタオを見る度に「タオちゃんこんにちは!」と声をかけてくれた。なので荼毘に付す前に報告だけしようと思って挨拶に行くとわざわざ線香をあげに来てくれた。
 よかったね、タオ。

 明日の荼毘の棺桶(…とはいえ簡易段ボールだそうですが)に入れる品々をかき集め中。
 タオが気に入っていた縫いぐるみのおもちゃ。
 洋服2着。
 身体に悪いから極力食べさせない様にセーブしていたビーフジャーキー。
 それと写真。ヒカルとぼくのお互いのカメラで撮っていたから仕方ないんですが、タオとヒカルとぼくの3人で写っている写真がないのが悲しい。

 そこで道路に3人の影が落ちた写真と、ヒカルとぼくの2ショットと、タオとヒカルと、タオとぼくと、ヒカルが撮ったタオと、ぼくが撮ったタオと、そして天国で会える様にとケムの写真を揃えた。
 天国なんて残された人の気休めにしか過ぎないと思いつつも、ひょっとしたらタオは天国に行って、そこでケムと再会するかもと思う。そしたらぼくらが行くのを待っててくれればまた会える。もう2度とタオと一緒に散歩に行ったり、一緒に寝たり、抱いたり、撫でたりできないなんて信じられない。

 タオが亡くなってそろそろ30時間。

 亡くなったことは理解しているつもりなんだけど、まだきちんと受け入れられていない。

 時計を見ると「あっ、そろそろ散歩連れていかないと」とか、散歩の途中でみんなで一緒に夕飯の買い物しようとか、そういう思考が染み付いていて、いちいち「そうだ。もうタオはいないんだ」と自分を納得させることばかり。

 ヒカルもぼくも昨日からほとんどなにも食べずにお清めの酒ばかり吞んでいるので、明日にちゃんとタオを送り出してやるためにそろそろ何か食べないとダメだと思った。そこで車を出して買い出しに出たんだけど、いつもタオを乗せて行ったから、瞬時にリードを探しちゃうんですよね。
 そこでまた「そうだ。タオはもういないんだ」の繰り返し。

 そして駐車場に車を入れてお総菜など見てるんですが、少しだけタオにも美味しい物を食べさせてあげたいから唐揚げ買おうとか…。
 さらには駐車場の車の中にタオを待たしているから、急いで買い物済まそうとか…。

 親父が亡くなったとき、実家で買えなくなったケムと言う犬を引き取った。
 晩年は寝たきりでしたが20歳まで生きて大往生。
 ケムが亡くなったときは老犬の介護に不慣れだったので、ああしてやればよかった、こうしてやればよかったの後悔ばかりでしたが、その経験を活かして、タオの老後はばっちり面倒みてやる予定だったのに…。

 ケムが亡くなったときも悲しくてやり切れなかったですが、ケムが亡くなってもタオが残った。
 しかし今はタオもいなくなって、ヒカルと2人きりになってしまった。タオの存在は大きかった。

 写真を見ながらヒカルと2人でタオの思い出話し。
 すると泣けてくるので酒を呑む。
 酒を呑むと寂しさが少しだけ薄れる様な気がするけれど、他に話すこともなく、テレビを見る気もしないので、どちらからともなく再びタオの思い出話しが始まって寂しくなることの繰り返し…。

 タオはいい子だった。
 人見知りだった。
 犬見知りだった。
 少しの曇りもなくぼくらのことを愛してくれた。
 少しの曇りもなくぼくらもタオのことを愛した。
 弱虫だった。
 少しだけ我がままだった。
 なにしろ3人一緒にいるとご機嫌だった。どちらかがいないと、ずっと帰りを待ちわびていた。
 おっちょこちょいなところがあった。
 ドライブが大好きだった。
 病院が大嫌いだった。
 雷や花火などの大きな音が大嫌いだった。
 風に舞うレジ袋が怖くて大嫌いだった。
 雨も大嫌いで、濡れて家に戻ると、ベッドの上でもんどりうって身体を乾かした…。

 書くことで少しは整理されるかもと思って書いてみましたが、全く整理されませんね。

 そういえばヒカルチョイスの写真を増やしたので、よければこちらのアルバムを見てください。
 病気と老いで弱ったタオばかり人に見られて来たので、本来の生き生きとしたタオを見て欲しい。
 なんでそんなこと思うのか、自分でもよく分からないんですが…。