FreePetsの活動で八幡山の動物愛護相談センターを見学してきました。
野良犬を捕獲したり殺処分する「保健所」と呼ばれていた場所です。
1時間半のレクチャーを受けたあとに施設内を見学。
去年(平成21年度)1年で日本国内で殺処分された犬猫が約30万頭。
東京都内では3728頭。うち犬が253頭。猫が3468頭。うさぎ等が7頭。
東京都に限って言えば、ほとんどが猫。さらにほとんどが仔猫。
野良猫(地域猫)が可愛くてご飯を上げる。
すると自由繁殖だから増える。
増えると糞尿や鳴き声を嫌がる人がいて、保健所に持ち込まれるということの繰り返し。
八幡山の施設では殺処分は行われていない。(都内の殺処分は城南島のセンターで行われる)
城南島センターが設立されたのが昭和58年。
バブルに浮かれていた30年前のこの頃は都内の殺処分数は6万頭。
6万頭の殺処分と焼却を可能にするために作られた施設は、それこそ工場みたいにシステマチック。
しかしこの30年で4000頭弱にまで減ったので、施設はほとんど稼働していないそうだ。
ガラス張りの檻に何匹もの犬猫が閉じ込められて殺処分を待っているみたいな扇情的な映像をマスコミは好む。
しかし現状は掃除が行き届いた犬舎は空きもある状態で、1室に1頭が入れられて、飼い主が迎えに来るのを待っている。
実際、ぼくが見学したときも5〜6頭のうちの2頭は飼い主が名乗り出て(逃げ出して捕獲された迷子犬)迎えを待っていた。
レクチャーで印象的だったのは
・心優しい人が野良猫を拾う。
拾って飼うのかと思えば相談センターに持ち込んでくる。
持ち込まれた猫を都民の税金で飼養するわけにいかないので
処分せざるを得ないという現状
・譲渡をするということが前面に出ると
「動物愛護相談センターに連れて行けば殺処分されずに誰かが貰ってくれる」
という考えになってモラルハザードが起きる。
なので引取るときは「殺処分しますよ」ということを必ず告げている。
実際、譲渡先が見つかるとは限らない
・犬の放し飼いがなくなって自由繁殖がなくなったので、子犬取扱が激減
・東京都内では
一戸建ての庭に犬小屋があるという飼い方はほとんど無くなった
ということだった。
持ち込まれたり、捕獲されたり、拾得物としてセンターにくる動物は、1週間の保護期間を経て、愛護団体に引き取られたり、譲渡会に出たりする。
それでも新しい飼い主が見つからない場合、城南島の最終処分施設に移送されて殺処分される。
センターの職員さんは、みんな動物好き。
当たり前のことだけれど、好き好んで処分しているわけではない。
「ここにいる時間は、動物たちにはなるべくストレスなく穏やかに過ごして欲しいと思っているんです」
ということばが響いた。
当たり前のこと過ぎてわざわざ書くのもバカバカしいが、どんな理由があるにせよ、動物を捨ててはいけない。
避妊手術もしていないのに、野良猫(地域猫)にご飯を上げてはいけない。上げるなら捕獲して避妊手術すべき。そうでなければ仔猫が増えて、それがどんどん殺処分されることの繰り返し。
都内に限っていえば、来年度中にも犬の殺処分をゼロにすることは可能という印象を受けた。
どうしても譲渡先が見つからないとか、譲渡するわけにはいかない(噛み癖がある。看病し切れないほどの重病)犬がいるのは事実なので、短絡的に殺処分ゼロにはならないと思うけれど、数十頭くらいならシェルターで終生飼養することはできないのだろうか?
東京ローカルのラジオ局やテレビ局さんなどとFreePetsで組んで、都内の犬の”殺処分ゼロキャンペーン”できないだろうか?
日本全国なんか手に負えないので、せめて自分が暮らしている地域から、殺処分などという、出鱈目で、腹立たしく、絶望的なことをなくしたい。
誰か力を貸して欲しい。
見学可能なので、みなさまもぜひ。(職員さんの手間を増やすので10人くらいでまとまって申し込んだ方がよさそうです)
目を背けていてもなにも解決されないし、足を運んだだけで得るものが多いです。
絶望に叩きのめされる覚悟で見学にいったのだけれど、希望が見えた気がした。
=====以下追記
処分目的で持ち込まれる動物も多いが、迷子になって捕獲された動物も多い。
まずはチップの有無をスキャニングするそうだが、マイクロチップが埋められているのは1%程度だという。
マイクロチップが埋められてさえいれば、動物も飼い主もお互いを探しているのに見つからないという悲しいことがなくなる。