dsc-3241-2.jpg

 D60の仕上がり設定を「やや鮮やか」にして、ホワイトバランスを曇りモードにして、ちょっと緑を強めのカラーバランスで撮る。それで後から彩度下げるとノスタルジックで優しい色味になるのでこの感じが気に入っているんだが、やり過ぎるとあざとくなるから加減が難しい。
 難しいとはいえ、自分の好みがプリセットされているので、いつも同じソフトで規定値の処理してるだけだから10秒程度の作業。

 遠景の木々のボケ味がいい。
 空が曇ってるおかげでしっとりした雰囲気になってるのもいい。

 たまたまだけど、他に人が写ってないのもよかった。
 ヒカルとタオの2人だけの世界になっている。

 後ろのレジャーシートなどの荷物が雑然としてるのは美しくないが、これでキッチリ整い過ぎていても作ってる感じが出てしまうので、日常のスナップとしては妥当だろう。

 タオの顔がキッチリ画面の中央にありつつ、左半分をヒカルが占めている構図もいい。

 縦のバランスを考えると、画面右を占めているタオが小さいせいで画面右上の空間が抜けている。抜けてるおかげで曇り空なりの開放感があるのもいい。これでピーカンの青空だとでき過ぎて、狙った感じが出てしまうのでこのくらいが適当だ。

 レイアウト的なことを言えば、ヒカルとタオの足が切れてしまってるのがいまいち。本当だったらヒカルの足下も、タオの足下もフレームに入れた方がいいんだと思う。しかしそうするともう少し引いた絵になる。表情を捉えるためにはこれくらい寄る必要があると考えれば、被写体との距離も妥当なのかも知れない。

 いつもはSigmaの30mmF1.4というレンズで撮ってるんですが、久しぶりにD60を買ったときについてきたキットレンズの55m-200mで撮った。そしたらかなり離れた場所からズームで寄れるので、撮っていることを意識されずにすむ。なので自然な動作や表情が撮れるのが面白い。
 実際、この写真だって10メートル以上離れた場所から撮っている。

 好みがあるでしょうが、ぼくとしては、おにぎりを食べているヒカルが途中でタオと目を合わせて何か以心伝心してる瞬間のいい写真だと思う。

 これが30mmのレンズで撮ると、2メートル先くらいから撮ることになるのでもっとカメラを意識した写真になる。カメラを意識するとどうなるかと言えば、ヒカルがムリに笑った写真になる確率が高い。そうではない、瞬間の無表情っぽさが自然でいいのだ。

 …が。

 よく見てみると、タオの目線はおにぎりに行ってるっぽい。

 タオ視点でこの写真を見ると
「ハラ減ったなー。おい、そのおにぎりちょーだい」
 って言ってるだけだって気がする。

 そう思ってみると別に大していい写真でもない。

 1枚の写真が描き出す世界なんて、受け取り側の受け取り方次第で全く変わるわけだ。
 写真でなくても、世界は変わるんだから当然だけど。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください